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吉「ハハ、悩んで馬鹿みたい。……はぁぁ……まったく、晋作みたいな脳天気馬鹿でも玄瑞みたいに腹黒くはないつもりなんだけど……。」
チラッと眠る詩音の穏やかな顔を見ると自然とため息が出てくる。
吉「穏やかに寝るのは悪い事じゃないけど、人の気も知らないでよく寝れるよ…。」
「ばーか…」と小さな声で呟きながら頬をツンツンとつつく。しかし、全く詩音は起きずされるがままの状態だった。
口では「ばーか」と言いながらも口元は微かに笑っており、優しい顔をしていた。
そんな事は誰も知らず、その場にいた詩音にも、本人にさえも分からない。
[……………何、この状況…。]
目が覚め、身体を起こすと直ぐに気づく少し違和感のある感覚
違和感の先に視線を向けるとそこには軽く握られていた手があった。
「起きましたね。調子はどうですか?」
いきなり声をかけられ、声のする方へ視線を向けると見知った人物が立っていた。
[玄瑞さん、]
玄「うん。顔色も良いですね、大事なくて良かったです。」
[玄瑞さん、あの……]
玄「ぁぁ、…もう少しだけ、このままでいてあげてくれますか?彼もゆっくり眠れていなかった筈なので」
ーーもう少し、口に出せばいいのに……
玄「あと少ししたら目も覚めると思うのでそれまでは……。お願いします」
[そんな、お願いだなんてっ…。]
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