第42章…後悔と再会

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一人残された詩音はどうするか考えていた。高杉を探したほうが良いのか、それとも先に藩邸に戻って良いのか……。 面倒見の良い高杉の事だからもしかしたらもしかすると詩音を探す可能性もある。 が、一方で自分の目的成功しても忘れる可能性もある。 なので判断に困るのだ。 [……っ、寒い……] 頭から掛けられていた羽織りを肩へ掛け直し、辺りをキョロキョロと見渡し高杉らしき人物を探す。 ーーいない、か。まぁ、こんな早く見つけるとは思いませんが……。とりあえず手っ取り早く [……戻りながら探しますか] そう呟きながら詩音は少し懐かしく、けれと慣れた道を歩きだした。 そしてーー少し歩いていると前方から、刀がぶつかり合う音が聞こえ、ガヤガヤと沢山の人が集まっているのが見えた。 もしかすると高杉かもしれないと一瞬でも思ってしまった為に気になって近ずいてみる [どうかしたんですか?] 〔ん?ああ、捕り物だよ〕 [捕り物、ですか?] 〔ああ、派手な着物着て暴れてた浪士が取り押さえられたんだ。〕 [それにしても人が集まってますね] 〔派手だったからなー。俺ぁ偶然見たが…まぁ、恐ろしかった〕 〔浪人同士が斬り合ったって別に…なぁ?〕 〔ああ。騒ぎは起こさないでもらいてぇもんだ〕 評判は悪いらしい。 詩音は一歩下がると、その捕り物と派手な着物を着た浪士を見るために少しずつ人混みの中へ入っていく。
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