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すみません、ちょっとすみません、と言いながら少しずつ中へ入っていく。
やっと状況が見える位置に入れ、背伸びをして覗き込む。
[……っ、…、ん?]
ーー派手な着物って、高杉さんじゃないよね…?しかも暴れてるって……
〔おい、ほら暴れるな!〕
〔この縄で取り押さえろ〕
「はぁぁ、その人達捕まえたらさっさと帰りますよ。人が集まりすぎです…まったく、見せ物じゃないのに」
〔はい、組長〕
「……」
揃いの羽織りを着た五、六人の侍が物凄く派手な着物を着た、いかにも悪そうな奴らを縛り付けていた。
高杉かもしれないと思っていたが全く似ても似つかない。似てる所をあげるとすると………着物が派手な事だけだ。
[……………、]
くるっと、背を向けて人混みを抜けていく。その足は少し早歩きだった。
肩からかけていた羽織りをギュッと胸の辺りで握り拳を作り、逃げるように歩く
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、と砂利を踏む度に鳴る音が普段では気にならないが今は気になってしかたがない。
後ろからの足音がないか…、聞こえる足音は誰のモノなのかが怖かった。
[っ、……………はぁぁ、、]
追われているわけでもないのに隠れるようにして細い路地へと入る
焦りでかいた汗で前髪がはりつく。
それを袖で拭いながら乱れた呼吸を落ち着かせる。
ーー心配いらない。逃げる必要なんてない。大丈夫。顔は見られていないはず。
[……落ち着け、、………平気。平気。]
と自分に言い聞かせる詩音。
目を閉じ、「ふぅぅ」とゆっくり呼吸をし、自分を落ち着かせる
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