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高杉を探しながら藩邸に戻る為、そのまま路地を歩いていこうとし、足を踏み出した瞬間
パシッ!と後ろから手首を掴まれる。
驚きながらも何故か後ろが見れなかった。振り向く事が出来なかった。
「はぁぁ、はぁぁっ、」と息を少し切らせているのが分かった。おそらく走り回ったのか、事実は分からない。
その微かに感じれる温もりと気配には見覚えがある。だがしかし、今はもう自分の中では既に過去の事と人である。
[………っ、]
「はぁぁ、っ……はぁっ、ーー」
[!!!]
聞こえてくる聞き慣れた声での単語
最近では全く聞かなかった少し高めの優しい声
「詩音……です、よね?……そう、ですよね?」
[ビクッ……]
名前を呼ばれ、ビクつく身体。
掴まれた手首を放させるために力一杯抵抗する。が、力の差なのか離れない。
逃げようとしているのを止めるかのように「詩音!詩音!」と何度も名前が呼ばれる。
ゆっくりと……後ろを振り返る
[……っ、、………沖田さ……]
「……詩音っ!!」
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