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スッ…と目を開き、前を見据える。
[戻ろ、]
ゆっくり歩き出すが、少しずつ早歩きになっていき、後には走り出していた。
後ろはもう振り返らない。
早く、自分のいる場所へ帰ろうーー。
[高杉さんの馬鹿っーー]
外に連れ出しといていなくなった高杉への発言だったが、今の気持ちを忘れるのにはもう十分な言葉な気がした。
ガラガラガラガラーーバタンっ!
[はぁ、はぁ、はぁ、……はぁぁ、]
藩邸の扉を閉めるとすぐに膝に手をつき、息を切らせながら呼吸を整える
すると、目の前に湯のみを差し出される。差し出した人物を見てみると驚いたような顔をしていた。
[…………玄瑞さん、、]
玄「驚きました…。大丈夫ですか?そんなに息を切らせて。また稔麿君と追いかけっこでもしましたか?ほら、飲んで下さい。」
[はぁ、…ありがとございます…、]
湯飲みを受けとると、一気に飲み干す。
飲みっぷりに驚いていた玄瑞だったが、苦笑いをしながら詩音を眺めていた。
玄「それでどうしたんですか?そんなに髪まで乱して。桂さんが見たら卒倒しますねきっと」
[そんな事……っ。ただ一気に走ってきただけですよ]
玄「よく着物で走りましたね。まぁ、詳しく理由は聞きませんがお疲れ様でした。」
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