第43章…自覚

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次の日ーー バッタリと見事に朝から鉢合わせした二人。 初めて顔を見るのが自分が今、最も会いにくい人だった。 吉「…おはよう。」 [ぉ、おはよう…ございます……っ] 決して視線は合わせずに、互いに少しズラしていた。 吉田は変わらない様子に見えるが、内心では現状に困っていた。 一方で詩音は、分かりやすいほどだった。 [わ、私っ、……水浴びてきます!] 吉「うん。いってらっしゃい……って、えっ?……水、あびるの?」 [か、顔洗って目覚ましてきます!] 「あ、ちょっと」と吉田が言った頃にはすでに行ってしまった詩音。 明らかに同様しているのが嫌でも分かる。 吉「……完全に避けてる。しかも大分慌ててたし。」 ーー避けられるのが一番堪えるんだよね 吉「さて、どうすべきなのかな」 パシャ、パシャ、パシャ と、裏庭では水の音が響きわたっていた。何度も何度も何度も何度も汲み上げては顔を洗い、また汲み上げては洗いの繰り返しだ。 既に着物は湿っているほどに水しぶきを浴びている [……はぁぁぁぁぁぁ、、、] ーー逃げてきたけど……逃げられる事じゃないんだよね……。
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