1940人が本棚に入れています
本棚に追加
[逃げたら余計に顔合わせずらくなるだけじゃない……。もー、絶対逃げたって吉田さん分かってるし、……どうしたら良いの]
ーーあんな事初めてだ。
だからどんな風に接したら良いのかが分からない。
考えたら考えたでよく分からなくなるし……。
[詩音の弱虫。馬鹿。…意気地なし…。]
ボソッと呟かれた言葉だが、詩音にはグサリと自分に向けられ、刺されるような言葉だ。
実感すると、ますます悪い方向へ考えが向いていってしまう。
[やっぱり、何も考えずにいたほうが良いのかな………?…まぁ、聞いた所で何も変わらないとは思うけど…。]
それでもーー
そのやり方を自分で納得出来ていない部分がある。
[私って面倒な女……。]
ますます気持ちが下がっていく。
[何の為に……。………何の為に私は]
「ふぅぅ、」とため息混じりな大きく息をはきながら中庭に向かい、そのまはま井戸に寄りかかる。
中を覗き込むと、水面に自分の姿が写し出された。
[………情けない顔]
今の自分がそのまま分かる。
どんな表情をしているのかがーー
そのまま、先程汲み上げた水を頭からバシャ!っと勢いよくかけた。
最初のコメントを投稿しよう!