第43章…自覚

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[逃げたら余計に顔合わせずらくなるだけじゃない……。もー、絶対逃げたって吉田さん分かってるし、……どうしたら良いの] ーーあんな事初めてだ。 だからどんな風に接したら良いのかが分からない。 考えたら考えたでよく分からなくなるし……。 [詩音の弱虫。馬鹿。…意気地なし…。] ボソッと呟かれた言葉だが、詩音にはグサリと自分に向けられ、刺されるような言葉だ。 実感すると、ますます悪い方向へ考えが向いていってしまう。 [やっぱり、何も考えずにいたほうが良いのかな………?…まぁ、聞いた所で何も変わらないとは思うけど…。] それでもーー そのやり方を自分で納得出来ていない部分がある。 [私って面倒な女……。] ますます気持ちが下がっていく。 [何の為に……。………何の為に私は] 「ふぅぅ、」とため息混じりな大きく息をはきながら中庭に向かい、そのまはま井戸に寄りかかる。 中を覗き込むと、水面に自分の姿が写し出された。 [………情けない顔] 今の自分がそのまま分かる。 どんな表情をしているのかがーー そのまま、先程汲み上げた水を頭からバシャ!っと勢いよくかけた。
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