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その人物は、癖なのか…いつもの様に壁にもたれ掛かりながら立たせた膝に肘をつき外をジッと眺めていた。
外なんて人一人たまにしか通っておらず、朝早くだからなのかまだ辺りもシーンと静まり返っていた。
「………案外、弱虫だよね。僕って」
ボソッと小さく呟いた一言さえも響いて聞こえてしまうほどだった。
自分でそう言い、クスリと笑ってしまう
すると、側にいた人間が気になったのか問いかける。しかし、その答えは言葉には出されなかったが目元はとても優しかった。
「吉田様、何か良いことでもありはったんですか?」
吉「……クスッ、…そうかもしれないね」
ーーーー
朝ーー
桂が先に戻った中庭での吉田と詩音だったが、その後…
吉田が去ろうとしたした時、微かに聞こえた声があった。
[…あの…っ、……待ってますっ、]
吉「!!?」
微かに聞こえたが、振り返りたかったが、振り返る事はせずにいた。
きっと詩音は今の状態で精一杯の一言だという事を吉田は分かっていた。
そして、無意識に発していたという事も
だが、それでも吉田にとっては嬉しい以外の気持ちはなかった。
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