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巡察中、平助と原田は自分達の隊を引き連れていた。
屯所に帰ろうとしていたその帰り道、平助はキョロキョロと何かを探しているような素振りをする。原田はそんな素振りが気にはなっていたが、何も言わずにいた。
平「なぁ左之さん」
原「なんだよ」
平「俺、行きたい所あるんだけど」
原「…、誰かに会いに行くのか?」
平「ぃや、…会いに行くわけじゃ…」
様子見というか、何というか…とボソボソと呟く平助に原田はため息をはく。
呆れた様な、仕方がないという様な苦笑いでいる。
原「お前は、本当に優しい奴だよ」
平「な、な、何だよ急に!」
原「優しい奴だよ。甘すぎる位にな」
平「んだよ左之さん…、」
原「……平助。お前はさ、アイツの味方でいてやれよな」
平「は?何それ、」
原「いいから、分かったか?」
平「わ、分かったよ」
新撰組の中で、絶対的なアイツの味方だった近藤さんに土方さん、総司は、複雑な心境な筈。実際、総司は抜け殻の様に数日呆然としていた。
吹っ切れたと言っているが、本人を斬る事は絶対に出来ない筈だ。苦悩するに決まってる。
平助、だからお前だけは素直に詩音の事を信じてやってくれよな。
俺は…、アイツ自身に会ってないから状況や身の内すら分かってねぇ…。出来る事なんて、ねぇんだよ。
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