第44章…隔心

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…… ………… ザワザワと人通りの激しい道中 少し離れた距離で話をする者がいた。 遠目から見れば、知り合いではないと思われるだろう。そんな距離だ。 一人は黒い着流しを着て、長い髪を一つに結っている男 もう一人は町人らしき人物だった 「そうか…。分かった」 「良いんですかい?」 「別に構わん。困る事など特にない」 「あんた、本当に忠実やなぁ…」 「お前も気分屋ながらにきちんと仕事はするではないか」 「気分屋って、酷い事言わんといて下さいよお侍さん」 「……はぁぁ。では引き続き、頼んだぞ。」 「へい。かしこまりました。情報集めは得意なんでね」 「それがお前の仕事だろうが」 「それ言われちゃ返しようがありませんがな…ハハッ、」 「次はどれくらいになりそうだ?」 「そーですねぇ…あちらさんが尻尾を出してくれないとね~、」 「なるべく早めに掴んでくれ」 「へい、かしこまりました」 「では行く。任せたぞ」 そう言うと着流しを着た侍は人混みの中に紛れ込んでいった。 残された町人は侍が歩いていった方へ目を向け、「任されました、斎藤さん」とボソッと呟くと反対方向へと歩いていった。 「情報収集はお手の物なんでね…。さて、と…ちゃっちゃとやりますか、」
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