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「前に、ちょっと世話になってね。」
ーーあれは確か…、隊長格の斎藤一
後ろを振り返り、ジッ…とすれ違った人物の後ろ姿を見る。
「あの人以外にも、借りは返さないと気がすまなくて」
「何か恨みでも?」
「……個人的には感謝もあるけどそれ以上に許せない事の方が多いかな」
でも今はいいから行くよーーと、直ぐに話を反らし先へと道を進んでいく。
そのすぐ後に、すれ違った人物がこちらを見ていたとは気づいていなかったかもしれないーー
「先程のあの者の声、どこかで……」
ーー聞いた事がある。だが、一体どこで……。
と、眉間にしわを寄せ考えているとガサガサと草の茂みから音がし、バサッと人影が現れた。
不逞浪士かと思い、刀に手をかけいつでも抜刀できるようにする
「………お、やっと出られたー!!こーんな所に出るのか~、へー近道として使えるなこれは。」
「………」
ーー不逞浪士、ではなさそう…だな。
刀から手を離し、そのまま歩いていくと「おー、ちょっと聞きてぇ事があるんだけどよ」と話しかけられ絡まれた。
「何だ。」
「ちょっと人を探しててなー。知らねぇ?」
「………………………」
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