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「というより、人の名前を馬鹿みたいに大きな声で呼ばないでくれる?危機感ってものがまるでないね。分かってる?僕達、簡単に言えば幕府に刃向かう犯罪者なんだよ?」
「いやー、分かってる分かってる!でも見つかったのが嬉しくて叫んじまった。悪かったな、稔麿!」
「……君、本当馬鹿だよね。僕が恥ずかしくなってくるよ」
「何でだよ」
「もう良いよ。黙れ、一言も話さないで。面倒事になりかねないから」
「酷ぇぇえ!!」
「で、とても忙しい僕に一体何の用?下らない内容だったら今すぐにその派手な襟巻きを切り刻むよ」
「いや!駄目だ駄目だ駄目だー!!こればっかりは譲れないぞ!」
「だから、早く言いなよ。待つのも嫌いなの」
「いや、実は……でもなぁ、、言ったってどうせ下らないってお前なら言っちまうかもなー」
「だから…、何なのさ。面倒事なら僕はもう行くよ?」
ガシッ!と頭を掴んでいた手に更に力を入れていく。「痛っ!痛いっての!!」と聞こえるが「早く用件を言えって言ってるだろ」と掴む力を緩めないでいた。
すると、観念したのかーー
「し、詩音だよ!詩音っ!」
「?…詩音、がどうしたの?」
頭から手を放し、腕を組みながら話しを促す。
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