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「会津中将殿お預り浪士隊 新選組!
詮議のため、宿内を改める。
手向かいすれば容赦なく切り捨てる!!」
近藤の一声に屋敷内の灯りが一気に消え、
二階に潜んでいた浪士達がバタバタと新選組の目の前に姿を見せた。
刀を抜き、近藤達に向かって一気にかかる。
沖「態々堂々と討ち入りを知らせるなんて近藤さんらしいですね」
平「良いんじゃねぇの?これで派手に暴れられる」
新「正々堂々と名乗りを上げる。討ち入りの定石だろ」
カン!カン!といたる所で刀同士の当たる音が建物中に響きわたる。
人数は新選組が圧倒的に不利だが、力の差も経験も歴然だった。
それでも人数が多い攘夷浪士達は次々と出てくる。
近「…くそ、数が多いっ!総司と平助!お前達は二階を頼む!!」
平「了解!!」
近藤の言葉に平助と沖田は浪士達を切り捨てながら階段をかけ上がる。
近「新八!ここは私達が食い止めるぞ!」
新「はは、直ぐに終わらせねぇとな!!」
………
…………
沖「僕はこっちから見ていくよ。平助は逆側の部屋からお願い」
平「はいよ、」
二階にいた浪士達をあらかた片付けた二人はまだ見ていない奧にある部屋を手分けして確認していた。
一部屋ずつ潰していき、最後の襖が開きっぱなして月明かりが差し込み他の部屋より明るい部屋を覗きこむ。
沖「……まさか、あなたがいるとは思いませんでした。驚きましたよ。吉田稔麿さん」
その部屋には考えてもいなかった人物がいた。
吉「…血塗れだね、君。………一体どれだけの数を殺ったのやら」
ちらっと沖田の姿を見ても一切焦りもせず、ただ二階の自分のいる部屋の窓辺から外で闘っている新選組の退士へと視線移す。
吉「…だから言ったのに。止めとけって。人の話に耳を傾けないから無駄な死人が出る。」
沖「一体、何の話ですか」
吉「別に。君には関係ないよ。」
沖「貴方が、何故ここにいるんですか」
吉「それは簡単な話しだね。僕は君の敵だから今ここにいる。」
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