第48章……池田屋事件

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沖「ゴホッゴホッ……吉田さん。」 沖田からの呼び掛けに対して何も言わず、視線だけを向ける吉田 顔が見えかけていた詩音に、まるで隠すようにグイッと被っていた羽織りをかけ直す。 沖「……」 すると沖田はゆっくり立ち上がり、扉の開いた窓枠へと指を指す。 沖「階段はもう使えません。 隊士達がすぐにでもここへ来るでしょう。 そこからなら、恐らくまだ気づかれません。 ……あなた方なら、容易でしょう?」 吉「とことん甘いね、君。情けなんていらないんだけど」 沖「ゴホッ、…僕の気が変わらない間に行って下さい。 じゃないと、次は本気で殺しますよ。」 吉「……」 視線を沖田から詩音に移す。 不安そうに、悲しそうに下を俯く詩音。 その手は力強く握りしめられていた。 吉「逃がす事を後悔する事になるよ」 沖「今回だけですよ。次はこんな事言いません。」
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