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沖「ゴホッゴホッ……吉田さん。」
沖田からの呼び掛けに対して何も言わず、視線だけを向ける吉田
顔が見えかけていた詩音に、まるで隠すようにグイッと被っていた羽織りをかけ直す。
沖「……」
すると沖田はゆっくり立ち上がり、扉の開いた窓枠へと指を指す。
沖「階段はもう使えません。
隊士達がすぐにでもここへ来るでしょう。
そこからなら、恐らくまだ気づかれません。
……あなた方なら、容易でしょう?」
吉「とことん甘いね、君。情けなんていらないんだけど」
沖「ゴホッ、…僕の気が変わらない間に行って下さい。
じゃないと、次は本気で殺しますよ。」
吉「……」
視線を沖田から詩音に移す。
不安そうに、悲しそうに下を俯く詩音。
その手は力強く握りしめられていた。
吉「逃がす事を後悔する事になるよ」
沖「今回だけですよ。次はこんな事言いません。」
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