第48章……池田屋事件

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[っ、ぅ、……っ、] ……… ……… 〔あ。また泣いてる〕 〔泣いてない、もんっ!〕 〔目と鼻を真っ赤にさせてよく言うよ。もっと誤魔化し方あるでしょ?隠す気ないでしょ〕 〔栄太郎さん、意地悪ですっ、、〕 〔じゃあ君はその意地悪に負けるの?〕 〔負け、ませ…ん!〕 〔なら、さっさと涙を拭いて。泣き止んでよ。よくそんなに涙が流せるね。水分取りすぎなんじゃないの?〕 〔ぅ、……、泣いて、ないですっ、〕 〔分かりやすい嘘つかないで。 ぁぁぁぁ、もう。ほら、何で更に泣くのさ。〕 頬を両手で包み込む。 真っ赤にさせていた目を優しく親指で拭う。 〔これじゃあ僕が泣かせたみたいじゃん。たまたま君が泣いてる所に居合わせただけなのに。 慰めてもらいたいなら優しい明音の所に行きな。僕は甘やかしたりしないからね〕 〔……泣いて、ないです…!〕 〔まったく…。強がり。強情。意地っ張り〕 口では厳しい事を言うが、手ぬぐいを貸し、詩音が泣き止むまで側を離れる事はなかった。 ……… ………… 頭に流れてくる昔の記憶 何故、泣いていたのか覚えてない。 きっと理由は小さい事だったと思う。 泣いてるのに泣いてないと言い、理由も言わずに泣いている少女を決して一人に彼はしなかった。
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