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‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「ぁぁ、‥‥‥‥遅かったか。」
畳や壁が血で赤黒く染まり
静まり返った室内
何度も訪れた事がある池田屋
賑やかで明るい印象だったが、
数刻の間にそれは全く姿形を変えていた。
無数の死体が転がり、闘いの激しさが鑑みれる
2階の奥 とある一室
新選組隊士の死体の中に
倒れている自分のよく知る姿を見つけた
近くに寄り、膝をつき頬にそっと手を沿える
冷たく冷えた肌やピクリとも動かない身体
「遅くなって、すまない。
待たせてごめんよ。
全く‥‥こんなに、なってしまって‥‥‥」
君がいなくて、どうするんだい‥‥と呟く。
周りを見渡すと、
部屋中一面に広がる血だまりや刀の中に、羽織りがあった。
その羽織りは自分が貸したものだった。
羽織りを拾いあげると所々が赤黒く染まっていた。
辺りを見渡すも悲惨な状況化は変わってるはずもなくーー
「稔麿。一緒に藩邸へ帰ろう。
あの子をまた探さないと、いけないからね」
それは僕たちの仕事だろう?
そう言いながら、吉田の亡骸に自身の羽織りをかけゆっくりと背負い池田屋から去っていった。
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