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[………血、出てます。]
沖「…!!」
気づかなかった。
強く握りしめたせいで爪で傷つき、手のひらから微かに血が滲み出ていた。
[刀を扱う人なんですから、大事な手を無駄に怪我しないで下さい。力が入らなくなったら困るのは貴方でしょう]
そう言いながら詩音は懐から手拭いを出し、
何も無いよりはあった方が良い。
清潔ではないだろうから戻って水で洗うまで仮で使って。と、沖田へ差し出す。
綺麗な桜模様の手拭いだった。
沖田は差し出された手拭いを受け取る。
[返さないで構いません。私には必要ないものですから、もし必要ないなら捨てて下さい]
沖「………何を考えてるんですか」
[特に、何も]
沖「貴女が何を考えてるのか、わからない」
[………]
沖「僕が一番、分かってるつもりだったのに。」
[私にも、分かりません。
でも、…分からないなら、分からないままで良いんですよ。きっと、無理に知ろうとする必要もありませんし、他人の考えなんて理解出来る方が可笑しいですから。]
沖「………」
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