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手際良く頬や、紅と化粧をしていく
下ろしていた髪の毛も丁寧にまとめられた。
山「こんな役割したくなかった。」
[ここまでやっておいて、途中でそんな事言わないで下さいよ]
山「局長に頼まれたらやるしかないでしょーが」
[近藤さんが…これを?]
山「化粧をする事頼んできたのは局長だったけど、きっと他の組長とかも似たような事考えてたはずだよ。この羽織りだってそうだし」
[……平助君に言われたのって]
山「何て?」
[綺麗にしてもらえって、]
山「着飾る事は悪い事じゃないからね。
今日ばかりは、仕方ないからとびきり綺麗にする。綺麗な顔してるんだからさ、それを活かしてあげるよ。その羽織りに顔が負けないようにもね。」
[……お願いします]
山「……一つ、聞いても良い?他の人から何度も聞かれてるとは思うけど。
……どうして、逃げなかったの?池田屋でも、ここでも。逃げようと思えば逃げられたでしょ?
特に蔵からなんて、簡単でしょ」
[……逃げる選択肢は無かったです。]
どうしてでしょうね、と笑いながら話す詩音に対して本当馬鹿でどうしようもない後輩で困るよと呆れた様にため息混じりに呟く山崎
山「はい、目を開けて」
ゆっくり目を開くと、山崎が不貞腐れた様子でいた。
[……何ですか、その顔]
山「仕方ないでしょ。本当は会いたくなかったんだよ。顔を合わせたく無かった。話しなんかもしたくなかった…。するつもりもなかった」
[私は、山崎さんと会えて化粧をしてもらって嬉しいです。ありがとうございます。]
頭を下げると、詩音と名前を呼ばれた。
顔をあげるとバチん、とおでこを指で弾かれる
[痛っつ、]
山「これで俺は許したから。もう謝るな」
[山崎さん、、]
山「どうしようもないけど、可愛い後輩だから俺はこの一発で無かった事にするしもう忘れる。
……ほら、俺はここまでだから。」
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