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山崎が化粧道具を片付けていると、部屋の外から声をかけられる。
その声に「もう来ちゃったか……、」と山崎は小さく呟くと詩音に視線を向ける
[山崎さん…?]
山「詩音。……もうゆっくり話す時間ないから伝えとく。
詩音が決めた事、今更反対するつもりはない。
むしろ自分で決めた事を貫き通して偉いとすら思ってる。
………言いたい事沢山あったのに、今は正直言葉が出てこないや。
だから、最後にこれだけ言っておく。
最後の最後まで…君らしく、いてほしい…。」
以上、大先輩の優しい山崎さんからでした。
と笑いながら立ち上がる。
詩音から視線を反らし、襖を開けると「またね、詩音。いつかまた会おう」と部屋から出ていった。
[………山崎さん]
視線を合わすことなく部屋から立ち去った山崎。
これが、山崎との本当に最後の挨拶だと分かっていた。
「いつかまた会おう」の軽い一言。
だが、決して言葉の重みは軽くはなかった。
そして入れ替わりに原田が入ってくると
「お、綺麗にしてもらったなー。いいんじゃねぇか?」と笑いながら詩音の前に座り込む。
[…ありがとうございます。原田さん]
原「ほら、これやる。」
[…和泉屋のお団子]
原「餞別だ、好きだろ?」
紙に丁寧に包まれたお団子。
和泉屋の団子は詩音がよく食べていた菓子
原[………こんなんで、悪いな]
[……いえ、、態々ありがとうございました。]
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