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今思えば、時間を稼いでくれていたのだろう。
皆、少しずつ交代に色々してくれた。
平助が朝から迎えに来て、嫌そうな顔しながら白い着物を渡してきた。
着換えた後は、話しながら自分が使っていた部屋まで移動し、
斎藤が選んでくれた綺麗な羽織りを着て
山崎が化粧をしてくれた。
その後、原田が買ってきた団子を食べ、
裏庭へーーー
[原田さん、]
原「んー?」
[ありがとうございます。]
原「……別に、礼を言われる事なんてしてねぇよ。現に俺は、お前を最悪な場所へ連れてってるだろ」
[最悪って、嫌な役割をむしろやってくれてるじゃないですか]
原「お前を連れてくのは、他の奴らじゃなくて俺しか出来ねぇよ」
アイツらなら、もしお前が本気で嫌になって逃げ出そうとしたら何がなんでもお前を連れ出そうとするだろうしな、っと笑いながら原田は呟いた。
態と明るく冗談の様に言って損な役を引き受けているのが分かった。
角を曲がれば裏庭が見えてくる。
よく稽古や掃除、風が通る為に休憩場所として使っていた見慣れた場所
すると原田は歩いていた足を止め、
原「……詩音、さっきの御守りちゃんと持ってるか?」
[はい、]
原「腹、…減ってねぇか?」
[はい、]
原「………怖く、ねぇか?」
[………]
原「お前は昔から強がりだけど、何だかんだ言っても怖がりだからなー、……大丈夫か?」
[……はぃ、、]
原「…そう、か…。」
[……はい。]
原「なら、安心した。」
[…私、強がりで意地っ張りで、怖がりなんです。今も全く何とも思わないと言えば…嘘になります。でも、決めた事です。私自身が、決めた事です]
原「ったく、…お前は本当にいい女だよ。」
[原田さんに言われたら、自信つきますね]
原「あぁ、この俺が認めた女だ」
[ありがとうございます。]
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