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1月1日(日)午前10時10分。
都会の喧騒がほとんどなく、皆々が新たな年に浮かれ、はしゃぎ、怠慢の限りを尽くす今日この日、
巨大なビルの地下約60メートル。
真っ白な天井、壁、床が続き、蛍光灯が縦に並ぶ簡素な廊下を、一人の美女が凛と歩む。
高いハイヒールの甲高い音が長い長い廊下に響き、長い茶髪が優美な彼女に更なる流麗さを与える。
彼女の名は星食漆江(ほしはみ ななえ)。
ここ、狂峰(くるみね)コーポレーション別社、通称「兵器動物園(ウェポン・ズー)」の社員にして、感情兵器(エフェクトウェポン)犯罪行使者対策部隊「対犯情十三師団(カタストロフィ・メンバー)」の第二師団長である。
星食の脇をスレ違う一般社員(対犯情十三師団の構成員でもある)が見とれて対面の上司にぶつかったりしている中、星食の心境は穏やかなモノではなかった。
(全く!! 一体誰なんだ!! 許せん!!)
そんな怒気を帯びた雰囲気のまま、星食は「はるこちゃんの部屋☆」と蛍光ピンクで書かれた名札の部屋に勢い良く入る。
「居るか陽子(はるこ)!? お前また私の「特選特濃高級プリン」を勝手に食べただろ!?」
「ねえ、漆江ちゃん。前半の荘厳な文章が台無しだと思いますよー?」
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