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星食が飛び込んだのは同僚であり、同じ対犯情十三師団(カタストロフィ・メンバー)の一員。第十一師団長「顎ヶ陸陽子(あぎとがおか はるこ)」の私室である。
陽子は自慢の真っ赤に染め上げられた長髪を振り乱しながら回転する椅子をクルッと回り星食の方に向く。
「陽子!! お前じゃないのか!?」
「漆江ちゃん酷いですねー。私を疑うなんてー」
「疑いたくもなる!! 前に勝手に食べたのはお前だからな!!」
「あーんーそうでしたっけー?」
顎ヶ陸は変に若気(にやけ)ながら回転する椅子でクルクルと回る。
「素直に白状すれば私も怒らん。だから食べたのならそうハッキリ言ってくれ」
「もー漆江ちゃんったらー。私は食べてないですよー。前に勝手に食べて懲り懲りしてますからー」
「……うむ。正直そのしゃべり方のせいで信用する気には余りなれんが、取り敢えずは信じるとしよう」
「アハハッ♪ 漆江ちゃんやっさしぃー♪ 一方的に疑われただけだけど」
そうして顎ヶ陸の部屋からゆっくりした動作で出た星食は軽く頭を抱える。
(うむ。私とした事が独断と偏見で陽子を疑ってしまった……。我ながら情けない……。まあ取り敢えず、次に勝手に食べてそうなのは……)
なんだかんだといって、プリンの恨みは消えていない星食だった。
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