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淡い桃色のドレスを着て、水色のショートカットにふんわりとした帽子を乗せ、背から悪魔のような翼を生やした幼い体つきの少女と、赤と白のドレスを着て少し長めの金髪をサイドポニーで纏め、同じように帽子をかぶっている、枝に宝石をぶら下げたかのような翼を背に生やした少女。
そして、彼女らに付き従うように一歩引いた位置に佇む、メイド服を着た銀髪の少女。
この三人は、霧の湖と呼ばれる湖に存在する中島に建てられている館、紅魔館の主とその妹、そしてメイド長である。
レミリア・スカーレット
フランドール・スカーレット
十六夜 咲夜
それが、彼女らの名前だ。
「太助様、パチュリー様より本をお預かりしております」
「ああ……ありがとうございます、咲夜さん……
パチュリーさん、今日は喘息がひどいんですか……?」
「はい、お貸しする約束をしていた本を代わりに持って行くように、との事でした。」
レミリアとフランが部屋に置いてある座布団に座った後に家に上がった咲夜は、そう言って掛け布団の上に一冊の本を置き、障子戸の脇に下がってスカートの前で手を重ねて立つ。
「太助君、持って来ま……あややや、貴女方もいらっしゃったんですか?」
「あら来てたの、ブン屋。相変わらず通い妻してるわけ?」
「~~~っ!?
れ、レミリアさん!?だ、誰がかかか、通い妻ですか!!」
「いや、そんな笑顔でヤカンと湯飲みを持ちながら「持って来ましたよ♪」なんて言ってたら……しかも、毎日太助の家に来てるんだもの。
通い妻以外に見える?」
「あ、あの……ええと……その……」
文が部屋に戻って来て、ヤカンと湯飲みを太助の隣に置いた時、レミリアに声を掛けられて顔を赤らめて慌て始め、太助も少し顔を赤くする。
「ねぇ咲夜、かよいづまって何?」
「それはですね、妹様……」
「そこ!!言わなくていいです、言わなくて!!」
左腕をぶんぶんと振り、右手の人差し指で咲夜をビシッと指差しながら文が叫ぶ。
「あの……お茶、どうぞ……」
「ありがとう太助、いただくわ」
「ありがとー♪」
「恐れ入ります」
「あ、ありがとうございます、太助君」
太助はお茶の入った湯飲みを全員に回し、急須にお湯をもう一度入れてから自分の分を両手で包むようにして持って少し飲む。
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