件の友人。

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「それにしても……咲夜ちゃん、ここ数年で随分綺麗になりましたね……? レミリアさんをお母さんと呼んでいた頃が、懐かしいです……」 咲夜に目を向けながら太助が呟くと、咲夜は恥ずかしそうに顔を赤くして軽く俯き、レミリアは「久しぶりな響きね……」と懐かしそうな表情になった。 「それでは、私が撮った咲夜さんのろりぃな時から今の綺麗なスタイルまでの成長の記録でも見ながら……」 「ちょ、ちょっと文さん!そのアルバムどこから取り出したんですか!?そのポシェットには入りませんよね!?」 「ブン屋の嗜みです」 その時それを聞いたフランと文以外は、「(絶対に違うと思う……)」と、全く同じ事を思っていた。 「もちろん、小さい頃に水着を着て川で水浴びをしていた時の写真や寝顔の写真も、一枚たりとも余すことなく揃えてあります!えっへん!」 「えっへんじゃありませんよ!寝顔とか何時撮ったんですか!? 早くそれをしまって下さい!焼き鳥にしますよ!?」 文が全員に良く見えるように掲げているアルバムを、咲夜は慌てて取り返そうとするも、ひらひらと避けられて捕まえられない。彼女の能力を使えば簡単な事も、慌てるあまりに思い付かないようである。 「あら、良いじゃない。ブン屋、私にも見せて貰える?」 「ちょ、ちょっとおか……お嬢様!?せめてここでは止めて下さい!!」 「あら、お母さんでもいいのよ?咲夜♪」 「みんな……咲夜ちゃんが子供の頃から知ってますしね…… あ……フランちゃんは分かりますか……?」 「え?お姉様は、咲夜のお母さんなの?」 「そうよ?あの頃の咲夜は、私を見ると「お母さん!」って言って走って来て……」 「お、お嬢様!?」 「あら、良いじゃない別に。みんな知ってる事でしょう?」 「それでも、改めて言われると恥ずかしいんです!!」 真っ赤な顔でそう叫んだ咲夜は、もう一度アルバムを取る事に集中しようと文に視線を向ける。 「あ、これが咲夜さんがレミリアさんに拾われて二年目だかの夏に、水浴びをしていた時の写真ですね。」 「へぇ……小さい咲夜、かわいい~っ!」 「って、何妹様に見せてるんですか文さん!!?」 「何って……咲夜さんの思い出ですよ?」 「ぼ、没収です!」 文が開いていたアルバムをかすめ取り、取られまいと両腕でしっかりと抱え込む咲夜。
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