件の友人。

10/10
前へ
/50ページ
次へ
「ええ、欲しいのでしたら差し上げますよ? まだまだありますし。」 文はそう言いながらポシェットに手を入れ、バッ!と五冊のアルバムを取り出して片手で扇のように開く。 「な、なな何でそんなにある……と言うか、そのポシェットにどうやったら六冊もアルバムが入るんですか!」 『ブン屋の嗜みです(……ですね……)(よね)(だよね!)』 「なんなんですか、その片付けの技術を馬鹿にするような嗜みって……」 全員声を揃えて言ったのを聞いて、咲夜は「それは、確かに私だって御屋敷に能力を使って、中を広くしてますけど……」と頬を少し膨らませて呟きながら、そっぽを向いてお茶を飲む。 「美味しい…… はぁ、私もまだまだこの域には至れてませんね……」 「そもそも……咲夜ちゃんが何時も淹れるのは紅茶ですからね…… でも……、咲夜ちゃんなら、きっとすぐに緑茶を淹れるのも上手になりますよ……」 「ありがとうございます、太助さん……頑張ってみます」 太助の言葉に嬉しそうに顔を緩ませ、咲夜がそう言うと、縁側から声が掛かる。 「太助さん、お庭のお手入れ終わりました…… あ、レミリアさん達も来たんですね。」 「あやや?来てたんですか、妖夢さん」 「どうぞ、妖夢さん……」 「ありがとうございます、太助さん。 はい、少し前に来て、庭のお手入れをしてたんです」 お茶を一口飲んで、妖夢はほぅ……と溜め息をつく。 「やっぱり美味しいですねぇ……太助さんのお茶。」 「ですよねぇ……」 「全くね……」 「うん……」 「そうですね……」 まったり、のんびりとした空気が、部屋の中に広がった。 友人達が太助と共にお茶を飲むと、その味と太助本人の雰囲気で何時もこんな空気になる。 『ほぅ……』 そんな、件と友人達の日常の様子。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加