「好きなんだけど」

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そんなことを考えながらリュックから教科書やノートを出していると爽ちゃんがさらに質問した。 「で、要は?付き合ってる人いる?」 「俺!?いないよ~」 「そっかあ。じゃあ好きな人は?」 「それも……いない、かな。あはは……」 なんだろうね、この虚しさは。いないからいないって言うのは当たり前だし、ウソついても仕方ないんだけどさ……。 なんか虚しい! 「じゃあどんな人がタイプなの?」 「中身をちゃんと見てくれる人!」 俺はそこだけキッパリと答えた。 かわいいから好きになったとか全然嬉しくないし、やっぱ性格で選んでほしいよね、俺としては。 「爽ちゃんは?彼女出来た?」 自分ばかり聞かれることがなんだか気恥ずかしくて、俺は爽ちゃんにも同じように聞き返した。 「ううん。出来てないよ」 そっかあ……爽ちゃんほどの見た目でも彼女出来ないとかあるんだな。モテないわけじゃないのに……もしや理想が高いのか!? 「じゃあ好きな人は?」 「いるよ」 「え!?」 あまりにもあっさりとそう言われ、俺は目を丸くして驚いた。 「そそそそそうなの!?え!?ウソ!誰!なに!?どこの人!?同じ学校!?」 落ち着け自分……。 「そうだね。同じ学校」 取り乱す俺と違って、いたって冷静な爽ちゃん。
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