「好きなんだけど」

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「お前さ、好きな奴とかいないの」 その質問に、煌輝の動きが一瞬止まる。 「……なんで」 「いや、いつもラブレターもらっても読まずに捨てるじゃん?それってほかに誰か好きな奴がいるからなのかなーと思って」 それならいつも読まずに捨てる理由も納得出来る。 俺は言いたいことだけ言うと、グラスに入ったジュースをゴクリ、と飲んだ。 「……ゲーム、準備できたけど。やる?」 「え?お、おう!」 あれ?今の話は完全にスルー? 「俺、トイレ行って来るから先始めてていいよ」 「あ、うん……」 煌輝は何事もなかったようにコントローラーを俺に手渡すと部屋から出て行った。 え!?やっぱりスルーじゃん! なに!?なんで?触れちゃいけない話題だったのか? それとも、俺とはそういう話したくないとか? スルーされてしまった話題を「おいおい。無視すんなよ」とか言ってつっこむ勇気もないし、話したくないものを無理矢理聞こうとするほど俺も神経図太くない。 別に、話さないつもりなら、それはそれで、いいんだけど……さ。 恋バナでキャピキャピ騒ぐのがキモイって思ってのは俺だし、いいんだけどさ……。 でも、さすがにこんなハッキリ無視されると、なんつーか、うん……ちょっと地味にへこんでるかもしれない、俺。
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