「好きなんだけど」

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煌輝は無愛想で人付き合いもあまり良くないし、友達もそんなに多くない。 そんな中で、俺とは毎日一緒にいてくれるし仲良くしてくれる。 それは俺が幼なじみだから。 じゃあさ、幼なじみってなに? 友達じゃないの? 親友じゃないの? なんでも言い合える仲なんじゃないの? 少なくとも俺は煌輝にはなんでも話してきたつもりだし、隠し事もしたことがない。 だけど、煌輝は、どこか俺に対して壁を作ってるような気がするんだ。 それは今に始まったことじゃない。 昔から、小さい頃からそうだった。 なんとなく壁があって、俺はいつだって煌輝の本心を聞いたことがないような気がする。 感情を表に出すようなタイプじゃないことくらい分かってるけど、だからこそアイツが本心では何を考えてるかが分からなくて不安になる。 俺の面倒をよく見てくれるけど本当はもうウンザリしてるかもしれない。 俺のことなんて親友だと思ってないかもしれない。 今まであれこれ深く追求したり、詮索したり、なんとかして本心を聞き出そうとしなかったのは、正直、傷つくのが怖かったから。 煌輝にとって俺が、 “どうでもいい” そんなレベルだとしたら……それを知るのが怖くて、俺は煌輝の前にある壁をぶち壊せずにいた。 こんな俺でも繊細な一面があるんだな、と気づかされる。
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