「好きなんだけど」

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「んーと、手を洗おうと思ったら水が襲ってきてシャツがびちゃびちゃになっちゃった」 「どんな状況だよソレ……」 「あはは。そういうわけだからなんか服貸してー?」 「ったく……なんでお前はいつもいつも……!」 煌輝は明らかにムッとした表情で立ち上がると、クローゼットを開けた。 「ごめんごめん」 言葉ではそう言いつつも、俺はベッドに横になった。 反省する気ゼロ。 俺は横になったまま、クローゼットの中から服を選ぶ煌輝の後ろ姿をじーっと見つめる。 「これはちょっとデカイか……はあ……」 ムッとしたわりには俺に合うサイズをちゃんと探して選んでくれている煌輝。 そういうところが優しいと思うんだけど、これは優しさではなく、単純に面倒見がいいだけなのだろうか……。 「あ、これならイケるな。おい、ちょっとコレ着てみ……」 「あ」 代わりのシャツを手に持ち、振り返った煌輝とバッタリ目が合った。 「……なんで寝てんの」 そして恐ろしいくらい落ち着いた声に、冷たい眼差し……。 やばい……もしかして、怒らせた? 「あ、えっとー……わりい。つい、クセっていうか……煌輝のベッド大きいから寝たくなるんだよ……あ!よ、良かったら煌輝も一緒に寝る?なんて……あはは」 よくよく考えたら煌輝が怒るのもムリはない。 自分でぬらして迷惑かけたうえに、当の本人は全く悪びれた様子もなくベッドでゴロゴロしてるんだから、それは文句のひとつやふたつ言いたいに決まっている。 俺は慌てて飛び起きると、煌輝のご機嫌を伺うように苦笑いしながら言った。
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