「好きなんだけど」

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「……ムカつく」 え……。 今まで聞いたことがないくらい低いトーンの声に一瞬肩がビクリとあがる。 「ムカつく」 「え、あ、だからごめんって……」 「ムカつく!!」 その瞬間、煌輝は手に持っていたシャツを床に叩きつけた。 「こ、煌輝……?」 うそ……マジギレ? 煌輝はうつむいたまま顔をあげようとしない。 ど、どうしよう……。 「ご、ごめん、ね?」 俺が小さくそうつぶやくと、煌輝はパッと顔をあげズカズカとベッドに歩み寄る。そして、座っていた俺を勢いよく押し倒した。 「くそ……お前には言いたいことが山ほどあんだよ」 「ちょ!煌輝っ……!」 ものすごい力で腕を抑えられ、起き上がるにも起き上がれない。 やばい、俺、殴られるな、コレ……。 今まで蓄積してきた怒りがここに来て一気に爆発してしまったのかもしれない。 俺は覚悟を決めてギュっと目を閉じ、歯を食いしばる。 次の瞬間、 感じたのは痛みではなく、やわらかい感触と、煌輝が侑輝から借りたと言っていた香水の香り。 意外な感触に俺はビックリして目を開けた。
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