幼なじみ以上、恋人未満

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「これ以上、今みたいな関係を続けてたら俺はさっきみたいにお前を襲うかもしれない。正直、ホントは今すぐ、無理矢理にでも抱きたいと思ってる」 抱きたい?俺を?なに言ってんの……俺たちは、男、同士なんだぞ? やばい、完全に頭が真っ白だ……。 「悪いけど、もう限界だから、今まで通りになんて戻れない。俺と幼なじみをやめてこの先ずっと関わらないか、もしくは……付き合う、どっちかにしてほしいんだけど」 「……なに?ご、めん……言ってることが、よく、わかんない」 まるでダムが決壊したみたいに、とめどなく溢れる煌輝の言葉。 普段は無口だから、こんなに一気に喋ること自体驚きだし、なにより、その話の内容も理解出来ないくらい驚きで……。 今の俺にはそう聞き返すことくらいしか出来なかった。 俺の問いかけに対しても、煌輝の態度は変わることなく冷静。 だけど、その表情はどこか寂しそうで、悲しそうで、そんな切ない顔を見ていると胸がズキズキ痛む。 俺が、コイツをそういう顔にさせてるっていうのか……? 「俺は小さい頃からお前を幼なじみとして見たことなんて1度もない。出会ったときからずっと、恋愛対象として見てきた。お前以外に好きになったやつなんて、いないんだ」 「で、も、付き合ったり、してたじゃんか……」 「違う奴と付き合ったらお前のことを諦められるかもって思ってたんだ。だけど、そんなの不可能で、誰かと付き合っても俺はソイツのことを要だと思って今まで抱いてきた」 “要だと思って今まで抱いてきた” その言葉に、カアっと顔が赤くなる。 今まで自分が異性と同じように、性の対象として見られていたと思うだけで恥ずかしくなったのだ。 やばい……煌輝の顔……まともに見れない。 俺はパッと、顔を横に向けて目をそらした。
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