9人目

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奈緒はスタンガンを構えたまま拓海を迎え撃とうとしている。 でも絶対によけられる。 奈緒も運動神経はいいけど、喧嘩の場数を踏んでいる拓海には対抗出来る訳がない。 私も同時に奈緒に向かって駆け出した。 奈緒は案の定、力任せにスタンガンを拓海に振りかざすが、簡単によけられてしまった。 そして拓海はそのまま奈緒の顔を右手で殴りつけた。 奈緒はその勢いで吹き飛ばされたが、同時に私は警棒を振りかざし、その拓海の頭に叩きつけた。 ガン!! 手にしびれが走るほどの力で殴った。 でも拓海はこれだけじゃ絶対に倒れない。 私は手を緩めずにすぐに次の攻撃をしようとするが、拓海がとっさに警棒を持つ私の腕を掴んだ。 「やっぱりな!そう来るとおもったぜ!」 拓海は頭から流血しているのにもかかわらず、それに全く動じるどころか、私の腕を全力で握りつぶそうとしてくる。 私は握力に負け警棒を手から落としてしまう。 「さぁ本気で殺してやるよ!」 そして私も奈緒同様に殴りつけられ、地面に倒れた。 「ほら!どうした立てよ!俺と殺りあうつもりじゃなかったのかよ?」 倒れている私を拓海は容赦なく踏みつける。 痛い・・・・・。 こんな風に男に殴られたことは一度もない。 でも耐えられる。 今までの痛みに比べたら・・・・・・ 聖の痛みに比べたらこんなの こんな時間稼ぎぐらいどうにでも頑張れる。
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