絶望の果てに

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この男は俺達のグループの女メンバーをナンパして来た。 かなりしつこかったので俺達が呼び出されて出動した訳だ。 年齢は20前後だろう。 裸で路上に放り出されたその男を見てみんな笑っている。 あの男も悔しいだろうな。 俺達まだ中学3年のガキだぜ。 こんな子供のグループにやられてちゃ、今後この辺は歩けないな。 でも仕方ない。あいつが俺達に喧嘩を売るから悪いんだ。 男を放置して俺達は家に帰る事にした。 帰り道は途中まで彼女の『中野美幸』(なかのみゆき)と歩いて帰るのが日課だった。 「ねぇ広樹?明日帰りに映画見に行かない?」 美幸は俺に腕を絡ませてくったくのない笑顔でデートの申請をする。 「……明日は無理だ!」 美幸はあからさまに不機嫌そうな顔をして 「何で?今日だってせっかく日曜だったのにみんなと遊んでたんだから、平日くらい2人っきりで遊ぼうよ!」 ……。 「明日は姉ちゃんの命日で墓参りに行くんだ。」
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