絶望の果てに

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俺は自分の部屋に入る前に姉ちゃんの部屋に入った。 ……3年前とほとんど変わらない。 たまに母さんが掃除しているけど、それ以外は何も変わっていない。 姉ちゃんの机、その上に整頓されている教科書。 本棚には漫画や小説など様々な本が並べられている。 ベッドの布団は薄いピンクで、ぬいぐるみが置いてある。 ……いかにも女子の部屋だ。 姉ちゃんが死んだのは3年前の明日。 その時の姉ちゃんは中学3年で今の俺と同じ年だ。 あの時は姉ちゃんがやけに大人に思えたけど、もう追いついちゃったな。 身長も今では俺の方が高い。 変わらない姉ちゃんの部屋とは違い、俺の生活環境は激しく変わった。 あの頃は力もなく何も守れない弱い男だった。 でも今は俺は多くの守る対象がある。
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