絶望の果てに

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姉ちゃんが死んで……いや死ぬ前の苦しみや悩みも知らないで、俺は平然と生きていた。 俺がもっと頼れる男だったら、頼れる人間だったら姉ちゃんの苦しみを和らげてあげられたかもしれない。 姉ちゃんが死んだ時に、そうやって強く思った。 だから俺はさぼりがちだった空手の道場にも、積極的に足を運ぶようになった。 もっともっと強くなる。 強くなって大事なものを守る。 二度と無くさない様に俺は誰からも頼られる人間になる。 そう決意して3年間生きてきた。 おかげで喧嘩に明け暮れる毎日だ。 いつの間にか空手の道場も行かなくなってしまったが……。 だけど、それでも俺の周りには人が集まって来た。 基本は不良の奴が多いが、真面目な奴もいるし、女子だっている。 今はこの仲間たちが何よりの宝だ。 この宝だけは絶対に失うもんか!
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