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学年中の人気の的だった美幸の顔はどんどん腫れていく。
非力で暴力などほとんど振るった事がない私の拳でも、美幸の美貌を奪う事が出来る。
美幸に対して嫉妬した事がないとは言わないが、それでも美幸の人気には尊敬した。
広樹と付き合う事になった時も心底応援した。
自分自身で親友ってこういうのなんだと思う事が出来た。
中学入学以来ずっと美幸と仲良くやっていた。
楽しい事は共感し、辛い事は一緒に乗り越えてきた。
時には喧嘩もしたけれど、それでも一生の絆だと思ってた。
なのに
なのに
何でわざわざ私の彼氏を奪うのよ!
何でなの!!
いつの間にか私は殴るのをやめて泣いていた。
「美幸・・・・・・どうしてなの?」
泣きながら私は下敷きになっている美幸に尋ねた。
「奈緒・・・・・・」
「私は・・・・・・美幸を親友だと思ってたんだよ!」
聖と浮気をしていたのには本当に苛立つ。
でも本当に怒れるのは、その相手が美幸だからだ。
「あんたじゃなければなかった事に出来るのに・・・・・・」
美幸の事を恨めば恨むほど楽しい思い出が逆流してくる。
でももう引き戻せない。
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