9人目

28/43
前へ
/1065ページ
次へ
学年中の人気の的だった美幸の顔はどんどん腫れていく。 非力で暴力などほとんど振るった事がない私の拳でも、美幸の美貌を奪う事が出来る。 美幸に対して嫉妬した事がないとは言わないが、それでも美幸の人気には尊敬した。 広樹と付き合う事になった時も心底応援した。 自分自身で親友ってこういうのなんだと思う事が出来た。 中学入学以来ずっと美幸と仲良くやっていた。 楽しい事は共感し、辛い事は一緒に乗り越えてきた。 時には喧嘩もしたけれど、それでも一生の絆だと思ってた。 なのに なのに 何でわざわざ私の彼氏を奪うのよ! 何でなの!! いつの間にか私は殴るのをやめて泣いていた。 「美幸・・・・・・どうしてなの?」 泣きながら私は下敷きになっている美幸に尋ねた。 「奈緒・・・・・・」 「私は・・・・・・美幸を親友だと思ってたんだよ!」 聖と浮気をしていたのには本当に苛立つ。 でも本当に怒れるのは、その相手が美幸だからだ。 「あんたじゃなければなかった事に出来るのに・・・・・・」 美幸の事を恨めば恨むほど楽しい思い出が逆流してくる。 でももう引き戻せない。
/1065ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44709人が本棚に入れています
本棚に追加