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「由奈、外の車で真央さんと怜美も待ってる。とりあえず和哉を連れてここを出るぞ!」
お父さんは見たこともない程の怒り狂った表情をした。
「誰が逃がすか!貴様らまとめてここで殺してやる!」
そう言ってお父さんはリビングの入口に立った。
そしていつの間にかその手にはゴルフのドライバーが握られていた。
「あんた最低だな・・・・・・実の子供をいたぶって!俺の親父でもそこまでしなかったぞ!」
「貴様の親父の事なんて知るか!」
そう言ってお父さんはオッキーにドライバーで殴りつけた。
だけどオッキーはそれを上手くキャッチする。
「俺の両親は離婚しててな、俺の旧姓は塚本なんだよ!あんたの友人の塚本龍平は俺の親父なんだよ!」
「は?何だと!?」
オッキーが言い出した言葉に私は驚いたが、それ以上にお父さんは驚いている。
「だけどな、昨日殺された!理由はまだ分からないけど、あんたは何も知らないのか?」
「りゅ、龍平が殺された?・・・・・・そんな馬鹿な!」
お父さんは明らかに動揺している。
「嘘だ!そんな事ある訳ない!」
「事実だよ!だけどそんな親父でも俺の事は真剣に考えてくれてた。あんたは最低の父親だよ!」
オッキーの言葉なんてもはやお父さんには届いていなかった。お父さんはその場に崩れるように座り込んだ。
「由奈今のうちに出よう。」
お父さんは抜け殻の様に独り言を言っている。
「龍平?遥?正輝?由奈?何で?俺だけ?裕介?」
私とオッキーはその横を通って玄関に向かった。
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