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赤嶺由奈は
「愛川広樹君か……何て呼べばいい?」
待て待て待て。
確かにあの時助けられなかったのは悪いが、別に仲良くするつもりなはい。
「は?何でもいいよ。広樹でも愛川でも!」
赤嶺由奈は少し顔を横にして
「それじゃベタじゃん!せっかくだったら何か変わったあだ名にしようか。」
別にいいだろ何でも。ってか俺もう帰って準備したいんだけど……。
「ヒロ……これも普通か。アイちゃん……何か女子っぽい。ロッキー……って感じじゃないし……。」
勝手に考え込んでる赤嶺由奈を無視して行こうと思ったが
「じゃあオッキーに決まりね。」
オッキー?何じゃそりゃ?
「広樹のロッキーからちょっと変形させたんだけど、良くない?身長は大して大きくないけど底が反比例しておもしろいじゃん」
あだ名に面白さなんて求めんなよ。
「いいよそれで、お前は何て呼べばいいんだ?」
赤嶺由奈はきょとんとした顔で
「私は普通でいいよ。由奈で。」
何だこいつは?
「お前自己中系か?」
俺の問いに対して由奈は
「うん……そうやって生きてくって決めたの。」
何かを含んだ様な言い方で少し意味深な笑顔をした由奈に何かを感じた。
どこにでもいる様な女子なのに不思議な雰囲気と陰に包まれている様な女。
由奈の笑顔に俺は時間を止められ、言葉を失っていた。
何かの偶然か?
それとも必然か?
とにかく俺と由奈は導かれる様に出会った。
そして歯車はゆっくり周り始めた。
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