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突然聞こえてきたのはそんな悲鳴で、佐土原に哀れみの目を向けていた陸も、向けられていたのに全く気づかない佐土原も、思わず悲鳴の元を目で追った。
「イヤッ!離して…っ!」
そこには警察の制服と似ていたが色やデザインが少し違うものをきた30代後半の男が、女子大生らしき人の腕を掴み上げていた。
女子大生が男の手を振りほどこうとすると共に彼女の長い黒髪が宙に舞った。
「少数派名字身分区別法第八条、少数派名字取得者の保護に従い、16880位、西園寺空の保護をここに通告する!」
瞬間、空気がガラリと変わった。
夕刻の商店街にしてはあり得ないほどの静寂が一帯を占める。
施工されたばかりの少数派名字身分区別法。
国民に全貌を明かされていないが、数少ないその法律の中で少数派名字所持者の保護を謳ったのが第八条だった。
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