傍に居たい

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「すいません、ちょっといいですか?」 仁は女の子にどこか遠慮気味に声を掛かれば女の子は仁を見上げた瞬間、頬を染め「なんですか?」と浮ずった声を出す。 「その肩にかかっている物、借りていいですか?」 仁が何をしようとしているのか分からず玲志は不思議そうな顔をしながらも黙って仁を見ていた。 「……玲志、壱、弐、参、どれがいい?」 「……え?」 質問の意味が分からず思わず聞き返せば仁は「好きな数字は?」と違う聞き方をしてくるから玲志は指を一本だけ出す。 それを見て仁は微かに口元を上げると「頭だな。」と呟くから玲志は慌てて仁の腕を引っ張る。 「……頭はまずくない?」 「ダメか…?」 仁が何をしようとしているのかようやく理解した玲志は「ダメ。」と一言だけ呟く。 仁の右手にはさっきからテニスラケットが握られていた。 ボールを打って男に当てようとしているのだと分かり玲志はダメだと仁に強くしがみ付けば耳元で小さく息を付くのが分かった。 「分かった、当てない……威嚇だけにする。」 そう言う仁の声はいつもと変わらない優しい声で玲志は少しだけホッとした。
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