傍に居たい

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 お店の暖簾をくぐると中から「いらっしゃいっ」と威勢のいい声が飛んでくる。お店の中は想像していたものより意外とキレイで落ち着く造りになっていた。 初めてラーメン屋に来た玲志はどこか落ち着かなかった。 「二名様ですか?……こちらへどうぞ。」 通された席へ向かい合うように腰を下ろせば恰幅のいいちょび髭を生やした男が水を運んできて仁を見た瞬間、嬉しそうな顔をする。 「おっ、兄ちゃん。今日はお連れさんと一緒なんだね。」 「えぇ…すげぇ美味しいって連れて来たんですよ。」 仁がそう言えば男はハハハッと笑い頭をかく。 「上手いねー。そんな風に言われたらサービスしないとね。」 コップを二つ置き「決まったら呼んで下さいね」と笑顔を見せて奥へ引っ込んで行く。 「玲志、何食べる?」 「……仁のお薦め。」 疑問系ではなく答えを求められる言い方をされ仁は少し驚いた顔を見せるがすぐに可笑しそうにクスクスと笑い出す。 「じゃあ同じ物でいいか?………おいちゃん、もやしラーメン二つ。」 仁がそう言えばさっきの男が中から顔を出し「あいよーッ」と威勢のいい声を上げた。
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