傍に居たい

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「……仁は……何処に行っても…皆に好かれるな………。」 「んー?そうか?」 ラーメンを頬張りながら興味なさそうに答える仁に玲志は何処か淋しそうに笑う。 特別な事は何もしていないのにいつの間にか仁の周りには人が集まり時々、玲志は入りにくくなる時があった。武蔵も柚琉も最初は仁の傍にいてそれから知り合って毎日の様に他愛もない言い争いをしている。 玲志は中途半端に伸びた前髪を邪魔くさそうにかきあげながらラーメンを食べていると急に仁が立ち上がるから驚く。 「……仁?」 「ジッとしてろ…。」 帰ってしまうんじゃないかと一瞬、思った玲志は仁が帰らないと分かりホッと肩を撫で下ろしていると後ろから仁の手が伸びてくる。 「……仁?」 肩が跳ね上がり思わず振り返ろうとすれば「動くな」と怒られてしまう。玲志は叱られた子供の様に小さくなる。 額に伸びてきた大きな手が撫でるように上へ上がり軽く皮膚が引っ張られるような感じがしてそれで何をしようとしているのかやっと気付く。気付いたら急に恥ずかしくなってきてしまい玲志は耳まで美味しそうな程、真っ赤に染める。
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