傍に居たい

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 玲志は二つを受け取るとお礼をいい店を出る。 手の中にある仁の眼鏡を見下ろし立ちつくす。 ひんやりとしたレンズの硬質の感触。冷たかったレンズが玲志の体温を移し温かくなる。 恐る恐る眼鏡の弦を伸ばし掛けてみてアレ?と思う。目の前が歪まず度が入っていない事を初めて知る。 「……ダテなんだ。」 玲志はそっと弦に触り微かに頬を赤らめる。 そんな時、ポケットで携帯が振動して飛び上がる。意識がどこか遠くにいっていた玲志の心臓は今にも口から飛び出しそうな程、動悸していた。ドキドキと速くて変な冷や汗まで出てくる。 携帯を取出しメールボックスを開けば仁からだった。 それだけで玲志の胸は甘く疼き耳まで真っ赤にする。 嬉しくて自然と笑みが零れる。 “さっきは悪かったな。部屋が片付いたら呼ぶからそれまで待っててくれな。” 仁からのメールが凄く嬉しくて思わず零した言葉を気にしてくれてた事が嬉しくて目頭が熱くなり涙が零れそうになり玲志は慌てて目を擦る。 「………仁。」 今、すぐに仁に会いたくなってしまい玲志は抱き絞めるように携帯を握り絞める。
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