傍に居たい

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「おはようって……もぅ夕方だよ?」 ユキを抱き抱えたまま見下ろせば仁は「今日、初めて会ったし俺が寝起きだからいいんだ」と玲志に向かって腕を伸ばす。 正確に言えば玲志の腕の中にいるユキに向かって手を伸ばす。玲志はそっとユキを渡すと仁の隣に腰を下ろす。膝の上で大人しくしているユキはどこか満足そうな顔をしていた。 「……玲志、お前、いつからいたんだ……?」 ふと疑問に思っている事を口にしてみれば玲志はさも大した事、ないように「ジャスト2時間前から」と平然と言うから仁は慌てる。 「起こしてくれればよかったのに……。」 「……だって、仁があんまりにも気持ち良さそうに寝てたから………。」 「起こしにくくて」と言う玲志に仁は何だか恥ずかしくなり視線を少し外す。玲志に申し訳なくなってしまいどうしていいか一瞬、迷う。 「……次から起こしていいからな?」 申し訳なさそうに言ってくる仁に今度は逆に玲志の方が申し訳なくなってくる。 好きでここまでいたんだから仁が気にする事ない。 そう伝えたいのにうまく言葉が出てこず考えては口を嗣ぐんでしまう。
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