傍に居たい

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 触れるその暖かい手とそっと鼓膜を擽る低い声。  独占出来ればいいのにと思う。 無理だと分かっていても自分の中で仁を想う気持ちは前よりも増し日に日にその想いは強くなっていく。 傍にいるだけで不思議とホッとして伸びてきたその腕に期待してしまっている自分がいるのも事実だった。  ふと玲志は大事な事を思い出す。 「……そうだ、仁…コレ………。」 「ん?」 そう言って玲志は大事にパーカーのポケットに入れていた仁の眼鏡を出し手渡せば嬉しそうな顔を見せた。 「預かっててくれたんだ。ありがとう、玲志。」 「………ダテ、なんだね。」 「そ、本物だと思った?」 問い掛ければ小さな頷きが返って来て仁は可笑しそうクスっと笑いたった今、渡された眼鏡を掛ける。 「ずっと掛けてるからな……。」 「………仁、眼鏡、似合うよな…。」 「サンキュ……玲志も似合いそうだよな。掛けてみろよ…。」 仁は眼鏡を外すと「俺は似合わないからいい」と耳まで真っ赤にして拒絶する玲志に「絶対、似合うから」と無理矢理付けさせる。  玲志の心臓は今にも口から飛び出しそうだった。
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