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学祭の追込みに入ると寝る時間も少なくなってくる。徹夜組も出てきて徹夜をすれば当然の如く体力は奪われ最終的に風邪を拗らせてしまう。そしてそれは学校中に蔓延する事になる。
「毎年、よく流行るなー。なぁ?武蔵。」
「煩いですよ……。」
「あり?何か具合悪そうだけど、もしかして風邪?」
分かっていて聞いてくる柚琉に武蔵は殴りそうになるのを必死で抑える。今、攻撃した所で柚琉から倍返しされるのは目に見えていてどうせなら元気な時に殴りたいと拳を握る。
「あんまり煩いと移しますよ?」
「…いいよ。」
冗談のつもりで言ったのに思ってもみなかった返事に武蔵は思わず「え?」と聞き返してしまう。
「誰かに移せば治るんだから…移してもいいぜ。」
「………。」
普段、ワンマンでいつも自信たっぷりで困らせているのに「武蔵が治るなら移してもいい」と微笑まれるとどう返していいか分からなくなる。
武蔵は言葉が見つからず思わず口を嗣ぐんでしまう。
「……移せませんよ。移された方がひどくなるんですから…だから柚琉さんには移せません。」
そう言えば柚琉は嬉しそうに笑った。
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