学祭

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仁は栄養飲料のゼリーを口に啣えながら作品作りに没頭していた。 仕上げの最終段階に入っていて気分が乗ってきている時に進めたいと手を休める事はなかった。 作品を作っている時の仁の横顔はいつも楽しそうな顔をしていて本当に描く創るという事が好きなんだと分かる。 「……リーダー?」 「んぁ?」 相変わらず目はキャンバスに向けたままで返事をする仁に友也は抱きつきたくなるのを必死で抑える。 前みたいに素直に甘えられずモヤモヤとしたものがずっと胸の辺りにあって抱き付きたくてうずうずとする。名前を呼んできたのにそれ以上何も言ってこない友也に仁は不思議に思う。 啣えていたモノを外し友也の方を見れば何故か俯き筆を持ったまま硬直していた。 「……友也?どうかしたのか?」 「えっ?…あ、何でもない…………。」 「呼んどいて変な奴だな。」 クスッと笑う仁に友也は頬を染める。笑うだけで心臓が高鳴り血液がすごい速さで体中を駆け巡る。 友也は気付いた時には仁の首に腕を回し甘えるように背中から抱き付き肩に頬を摺り寄せていた。 「……友也?」 何も言わない友也に小さく溜め息をつく。
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