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出掛けようとする親に縋りついて離れない子供みたいで仁はやれやれと思う。
飲み終わった飲料ゼリーを捻り潰しゴミ箱へ投げ捨てると再び制作を再開する。
友也を背中に付けたままで多少、描きにくかったが気にしない事にした。
「どーでもいいが寝るなよ?寝たら床に放置だからな。」
布越しに感じる仁の温もりと匂い、子守歌のように優しい低い声は友也をホッとさせる。抱き付いても飛び付いても怒った事がない仁につい甘えたくなってしまう。
友也が「リーダー」と名前を呼ぼうとした瞬間、ドアの開く音と共に柚琉の声が耳に届く。
「仁ー?飯行かねぇ…?」
ドアを開けた柚琉は仁に抱き付いている友也を見て「タイミング悪かったかな」と焦った顔を見せた。
柚琉の訪れによって二人きりではなくなってしまい友也はつまんなそうに仁から離れる。
やっと自由になった仁は振り返り柚琉の方を向く。
「俺はまだいいです。」
「ちゃんと食わないと体力なくなっちゃうぜ?」
「………。」
体力ないと風邪を移されると言いたいのか柚琉は頻りに「飯~。」と訴えてくる。
仁は「了解しました。」と苦笑いをして立ち上がる。
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