傍に居たい

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 仁はうなだれ「すまん…。」と申し訳なさそうに謝れば玲志は不思議そうな顔をする。 「何で謝るんだ……?」 「いや……話の腰を折った気がする………てか、絶対折ってるし…ポッキリいったよなぁ~。」 益々うなだれ頭を抱える仁にクスクスと笑うと玲志は恐る恐る腕を伸ばし甘えるように肩に顔を埋める。 鼻腔を擽るデオドラントと仁の温もり。 優しくて暖かい。 仁は少し体を起こすと玲志の頭を軽くポンポンと叩く。 「飯……付き合ってくれね?」 「……いいよ。」 仁はよかったと零しゆっくり立ち上がる。 今だに座り見上げてくる玲志に「ん…」と手を出せば遠慮気味に手ではなく恐る恐る手首を掴んでくるから仁は変な奴だと声には出さず呟き困ったように笑う。 「何処行く?」 「……何処でもいい。」 何処でもいいと言われると困ってしまい仁は少しだけ考える素振りを見せた。 「じゃぁ天下一行こう。」 「……天下一?」 「行った事ねぇ?すげぇ美味しいよ。」 そう言われ玲志は「そうなんだ。」と気のなさそうな返事をすれば上から大きな暖かい手が下りてきてそっと髪を撫でてくれる。
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