傍に居たい

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 友也は小さく溜め息を付き落ちかけていた鞄を肩に掛け直す。 最近、仁の処に玲志がよくやってくる。 正確に言えば海に行った後、辺りからで接する態度も仁は前とは全然変わらないのに友也には何だか淋しくて嫌だった。 仁が何だか遠くに行ってしまったみたいで友也は淋しくてしかたなかった。 もう一度、深い溜め息を付きガックリと肩を落とす。俯き加減で歩いていた性で前から歩いてくる男に気付かず思いっきり肩がぶつかってしまう。 しかし友也は半分、意識が飛んでいて気付かずそのまま何も言わず通り過ぎてしまう。 「おいっ!ちょっと待てや!」 男が叫ぶが友也の耳には届かない。無言で歩いて行ってしまう友也の肩を思いっきり掴み後ろへ引っ張る。 予期せぬ事に驚き友也はそのまま後ろへ倒れ尻餅を付く。 「いってぇ……。」 「テメェ、何か言えや!!」 上から降ってくる怒鳴り声に友也は顔を上げる。自分を怒りの表情で見下ろしている男に自分は何かをしたのだろうかと考える。 「ぁ?ぁ~すいませんでした。」 考えるが思い浮かばずとらえず謝り立ち上がるがそれがさらに男を煽ってしまう形になる。
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